セラミック治療を受ければ、患者さんは確実にこれまでよりも便利な歯を手に入れることができます。
しかし、セラミックがいくら高品質とはいえ、完璧な素材と思いすぎるのは良くありません。
今回は、セラミックの歯でも食べにくさを感じるものについて解説します。
セラミックの歯でも食べにくいもの4選
以下の食べ物は、セラミックの歯であっても食べる際に注意しなければいけません。
・極端に硬い食べ物
・粘着性が高い食べ物
・骨や殻を含む食べ物
・熱いものと冷たいものの組み合わせ
各項目について詳しく説明します。
極端に硬い食べ物
極端に硬い食べ物は、セラミックの天敵です。
セラミックは、素材の性質上お椀を落とすと割れるのと同じように、一点に強い衝撃が加わるとヒビが入ったり、粉々に砕けたりするリスクを持っています。
具体的には、煎餅の硬い部分、ナッツ類、フランスパンなどの硬いパンの皮、あるいは氷の塊を噛み砕く行為が挙げられます。
これらを奥歯のセラミックで勢い良く噛んでしまうと、噛み合わせの強い力が局所的に集中し、素材自体の耐荷重限界を超えてしまいます。
特に治療した直後は接着剤が完全に硬化するまでに半日から1日程度かかるため、もっとも破損しやすいデリケートな時間帯です。
完全に固まった後であっても、天然歯のようにしなる性質を持たないセラミックは、逃げ場のない強い衝撃を受けると割れてしまうことがあります。
食事の際は、あらかじめ小さく砕いてから口に運んだり、前歯ではなく左右の歯でバランスよくゆっくりと噛み砕いたりといった配慮が必要です。
硬いお煎餅などは少し水分を含ませて柔らかくしてから食べるなどの工夫をすることで、割れるトラブルを未然に防ぎ、美しさと機能性を長持ちさせられます。
粘着性が高い食べ物
粘着性の高い食べ物は、セラミックの詰め物や被せ物を土台から引き剥がす原因になります。
セラミックは特殊な歯科用接着剤で歯に固定されていますが、垂直方向に強く引っ張られる力には弱い傾向があります。
代表的な食べ物は、キャラメル、ハイチュウなどのソフトキャンディ、お餅、ガム、そして粘り気の強い団子やドライフルーツなどです。
これらを噛むと、歯の溝やセラミックの隙間に強力に密着します。
そして、口を開ける瞬間に上方向へ引っ張る強力な力がセラミック全体に加わります。
特に経年劣化によって接着セメントが溶け出していたり、噛み合わせの微調整がズレてきたりしている場合、この粘着力によってあっさりと外れてしまうケースが多く見られます。
もし外出先などで外れてしまい、気づかずに飲み込んでしまうと再装着ができなくなり、高額な再治療費用がかかるリスクも伴います。
どうしても食べたい場合は、口の中で噛みしめるのを避け、ゆっくりと舐めて溶かしながら味わうようにしましょう。
また粘着性のある食材が歯に残ったまま放置すると、セラミックと自歯のわずかな隙間に二次虫歯を作る原因になるため、食べた後は速やかにブラッシングを行うことが大切です。
骨や殻を含む食べ物
一見すると普通の柔らかい料理に見えても、中に硬い異物が混ざっている食べ物は、セラミックに予測不可能な強い衝撃を与えるため非常に危険です。
噛んだ瞬間に不意打ちで強い負荷がかかるため、防御反応が間に合わず破折を招きます。
具体的な例としては、骨付き肉や魚の太い小骨、アサリやシジミなどの貝類に混ざった小さな殻の破片、梅干しの種、ポップコーンの不発コーンなどがこれに該当します。
肉の周りを引きちぎろうとした際、誤って中心の硬い骨をガチッと噛んでしまったり、スープの中の貝殻の破片を強く噛み込んでしまったりするケースです。
このような予想していない硬さに遭遇すると、脳が噛む力をセーブする前に、最大級の咬合力がセラミックの一点に突き刺さります。
天然の歯であれば、歯の根元にある歯根膜というクッション組織が衝撃をある程度吸収してくれます。
しかし神経を抜いた歯にセラミックを被せている場合、その感覚が鈍くなっているため、より致命的な破壊につながりやすいです。
これらの食材を口にする際は、あらかじめ目視で骨や殻を取り除いておくか、口の中で舌を使って硬いものが混ざっていないかを確認しながら慎重に咀嚼する必要があります。
「骨の近くが一番美味しいから」と、勢い良く骨ごと噛みつくような食べ方は絶対に避けなければなりません。
熱いものと冷たいものの組み合わせ
食べ物そのものの硬さや粘り気だけでなく、温度もセラミックの寿命に間接的な悪影響を及ぼします。
急激な熱変化をもたらす食習慣は、セラミックに微小なひび割れを生じさせたり、内部の接着剤を劣化させたりします。
問題となるのは、非常に熱い食べ物と冷たい飲み物を、交互に短いスパンで口にする行為です。
例えばアツアツの石焼きビビンバやラーメン、鍋料理を食べた直後に、氷のたっぷり入ったお冷や冷たいビールを流し込むような食べ方です。
物質は熱によって膨張し、冷やされることで収縮する性質を持っています。
こちらはセラミックも例外ではありません。
しかしセラミックの内部にある自歯や金属・レジンの土台、そしてそれらをつなぐ接着セメントは、それぞれ熱膨張率がまったく異なります。
熱いものと冷たいものが交互に入ってくると、素材ごとに異なるスピードで膨張と収縮を繰り返すため、その境界線に強力な歪みの力が生じます。
これが繰り返されると、接着剤が剥がれて隙間ができたり、セラミック自体に目に見えない内部破綻が起き、硬くないものを食べた拍子にパカッと割れたりする原因になります。
温度差のある食事の際は、少し時間を置くなどの配慮が推奨されます。
まとめ
セラミックの歯を正常な状態で使い続けるためには、冒頭でも触れた通り、やはりセラミックを完璧な素材と思わないことが大切です。
確かにセラミックは、保険診療の銀歯やレジンなどよりも優れていますが、決して積極的にダメージを与えても良いものではありません。
これからセラミック治療を受けようと考えている方は、治療後も摂取するものに注意しなければいけないことを理解しておきましょう。

