セラミック治療は、一般的な虫歯治療などと比べてやり直しのリスクが低いです。
こちらは、セラミックが極めて質の高い自由診療の素材であることが理由です。
では、万が一セラミックをやり直さなければいけなくなった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?
今回はこちらの点について解説します。
セラミック治療のやり直しによるリスク4選
セラミック治療をやり直すことの主なリスクは以下の通りです。
・歯の寿命の短縮
・経済的、時間的コストの発生
・歯茎のトラブルの併発
・二次虫歯や根尖病巣の再発リスク
各項目について詳しく説明します。
歯の寿命の短縮
セラミック治療のやり直しにおいて、もっとも重大な身体的リスクは、再治療のたびに自身の健康な歯質を余分に削らなければならない点です。
一度セットしたセラミックの詰め物や被せ物は、非常に強力な歯科用セメントで歯と完全に一体化しています。
そのため、これを除去する際には、周囲の健康な歯を傷つけないように慎重に削り取る必要がありますが、どれだけ精密に作業を行っても、完全に無傷で残すことは極めて困難です。
歯は削れば削るほど全体が薄くなり、構造的に脆くなっていきます。
このように強度が低下した歯は、日常の咀嚼による圧力や、無意識の強い食いしばり・歯ぎしりなどによって割れたり、ひびが入ったりするリスクが格段に高まります。
また削る量が限界を超えると、最悪の場合は抜歯を余儀なくされるケースも少なくありません。
さらに、削る際の摩擦熱や振動による物理的な刺激、あるいは健康な象牙質が剥き出しになることによって、歯の内部にある神経が強いダメージを受けます。
これにより、治療後に激しい痛みや冷たいものがしみる症状が続くようになり、結果として神経を抜く処置が必要になることもあります。
神経を失った歯は栄養が届かなくなるため枯れ木のようになり、将来的な歯全体の寿命が大幅に縮むという、極めて深刻な悪循環に陥る危険性を常に孕んでいます。
経済的、時間的コストの発生
セラミック治療は原則として公的医療保険が適用されない自由診療であるため、やり直しを行う際には非常に大きな費用負担が発生します。
最初の治療で利用した歯科クリニックの独自保証制度が適用されれば費用を抑えられる場合もあります。
しかし保証期間がすでに過ぎている場合や、治療結果に納得がいかず他院でやり直しを行う場合は、再度数十万円規模の治療費を全額自己負担で支払わなければなりません。
また、自費診療の保証には“定期メンテナンスに指定の頻度で通っていること”などの極めて厳格な条件が設定されていることが多いです。
それを一日でも怠っていた場合は、保証対象外となります。
さらに経済的な負担だけでなく、時間的なコストも無視できません。
再治療を行うためには、古いセラミックの除去、虫歯の再確認と処置、正確な型取り、仮歯の作製と微調整、新しい補綴物の装着といった工程をすべてやり直す必要があります。
そのため、歯科クリニックへの通院回数が大幅に増え、治療が完了するまでに数週間から数ヶ月におよぶ長い期間を要することになります。
仕事やプライベートの大切な時間を割いて通院を重ねることは、患者さんにとって精神的にも肉体的にも非常に大きな負担となり、スケジュールに多大な悪影響を及ぼします。
歯茎のトラブルの併発
セラミックのやり直しは、歯そのものだけでなく、周囲の歯茎や歯周組織に対しても非常に大きなリスクを及ぼします。
古いセラミックを除去する際や、新しいセラミックを密着させるために歯の形状を細かく再調整する際、歯科用器具が歯茎に接触しやすくダメージを与えてしまうことがあります。
これにより、歯茎が傷ついて急性の炎症を起こしたり、一時的に強い腫れや痛みが生じたりすることがあります。
さらに深刻な問題として、度重なる治療や強い物理的刺激によって歯茎のラインが徐々に退縮していくリスクが挙げられます。
歯茎が下がると、新しく入れたセラミックと歯茎の間に不自然な隙間ができたり、セラミックの土台となっている自身の歯の根元が露出したりします。
露出した根元は審美性を大きく損なうだけでなく、元々虫歯になりやすい象牙質であるため、二次虫歯のリスクを爆発的に高めます。
また歯茎との境界の適合性が低下すると、その隙間にプラークや食べカスが溜まりやすくなり、慢性的な歯周病を引き起こす直接的な原因にもなります。
せっかく見た目を美しくするために高額な再治療を行っても、土台となる歯茎の健康が損なわれてしまっては、長期的にセラミックを維持することは難しくなります。
二次虫歯や根尖病巣の再発リスク
セラミック治療をやり直す原因の多くは、被せ物の内側で密かに進行した二次虫歯です。
セラミックを外した際、内部の虫歯が予想以上に深く進行していると、単に表面を整えるだけでは済まず、根管治療をゼロからやり直さなければならないリスクがあります。
神経を抜いた歯であっても、根管の内部に細菌が侵入している場合は、根の先端に膿が溜まる根尖病巣を引き起こしている可能性があり、治療には高度な技術と長い期間を要します。
根管治療は100%成功するとは限らず、再治療を繰り返すほど成功率は低下し、最終的に抜歯に至るリスクが高まります。
また、被せ物を支えるための土台を再作製する必要がある場合、古い土台を削り取る際に歯の根に強い負担がかかり、根が縦に割れてしまう歯根破折を起こす危険性もあります。
歯根が割れてしまった場合は、現代の先進的な歯科医療でも修復が極めて困難であり、ほとんどのケースで抜歯という最悪の結果を迎えることになります。
このように、見かけのセラミックを新しくする裏側には、目に見えない歯の根や内部の組織における深刻な感染症の再発や、破折による歯の喪失というリスクが潜在しています。
まとめ
セラミック治療はやり直しのリスクが低いという話をしましたが、実際やり直しになるとさまざまな問題が生じます。
またセラミックは優れた歯科材料ではありますが、一切二次虫歯や破折などのリスクがないわけではありません。
そのため、セラミック治療を受けたからといって油断せず、丁寧なセルフケアや歯科クリニックでの定期検診を継続する必要があります。

