セラミック治療は、数ある審美歯科の中でも人気が高く、当然メリットも大きいです。
一般の方でも治療を受けるケースが増えていますが、その反面、治療を受けることでさまざまな“拘束”が生まれるという懸念点があります。
今回は、具体的にどのような拘束が生じるのかについて解説します。
セラミック治療によって生まれる拘束4選
セラミック治療を受けることにより、以下のような拘束が生まれます。
・時間的拘束
・経済的拘束
・肉体的拘束
・メンテナンスの拘束
各項目について詳しく説明します。
時間的拘束
セラミック治療を完了させるためには、複数回にわたる通院と、それに伴うまとまった治療期間という時間的な拘束を避けることができません。
一般的な保険診療の銀歯であれば、型取りから装着まで短い期間で終わることも多いですが、自費診療のセラミック治療では、精密な歯型採取や高精度な製作期間が必要になります。
そのため、カウンセリングから始まり、虫歯の処置・土台作り・型取り、そして最終的な被せ物の装着までに、最低でも3〜4回以上の通院を要することが一般的です。
さらに、セラミックが完成するまでの間は仮歯で過ごす必要があります。
この仮歯の期間中は、硬いものを噛めない、外れやすいといった日常生活における食事や会話の制限が生じます。
また仮歯が万が一外れてしまった場合には、急遽歯科クリニックへ足を運ばなければならないという突発的な時間制限も発生します。
その上、審美性を追求するセラミック矯正などを複数本の歯に対して行う場合は、数ヶ月~年単位の治療期間が必要になるケースもあります。
長期にわたって定期的にスケジュールを確保し続けなければならない点が、仕事やプライベートにおける大きな時間的制約となります。
経済的拘束
セラミック治療は、原則健康保険が適用されない自由診療となるため、非常に高額な費用が発生するという経済的な拘束を伴います。
一般的に、セラミックの詰め物や被せ物は、1本あたり数万円から、素材や歯科クリニックによっては10万〜15万円以上の費用がかかります。
複数本の歯を一括で治療する場合や、前歯全体の審美性を整えるセラミック矯正を行う場合は、総額で数十万~数百万円に達することも珍しくありません。
またこの高額な費用は、一度支払って終わりではないという点も大きな盲点です。
セラミックは優れた耐久性を持ちますが、万が一の破折や、経年劣化、周囲の歯茎の後退、二次虫歯が起きた際には、再び高額な自費診療で作り直しを行う必要があります。
多くのクリニックが設けている製品保証制度を適用するためには、3ヶ月〜半年に一度の定期検診に必ず通うことなどの条件が課されていることが多く、こちらも縛りと言えます。
さらに、治療費のために高金利のデンタルローンを組むケースもあります。
数年間にわたって毎月の固定費として支払いに追われるなど、将来の資産形成や日々の生活設計における金銭的な選択の自由が、一定期間制限されることになります。
肉体的拘束
セラミック治療では、天然の健康な歯を大きく削らなければならないという、生涯にわたる肉体的な拘束が生じます。
セラミックという素材は一定以上の厚みを持たせないと割れやすいため、強度を保つために、通常の銀歯やプラスチックの治療よりも歯を深く、全体的に多く削る必要があります。
一度削ってしまった天然の歯の組織は、人間の体の中で二度と再生することはありません。
そのため、セラミック治療を選択した時点で、その歯は一生涯、人工の被せ物で保護し続けなければならないという宿命を背負うことになります。
また歯を大きく削ることで歯髄に近い部分まで露出するため、治療後に冷たいものがしみたり、慢性的な痛みを感じやすくなったりするリスクがあります。
場合によっては、歯軸や歯並びを強引に変えるために健康な歯の神経を抜くという処置が行われることもあります。
神経を失った歯は栄養が行き渡らなくなるため、脆くなって将来的に歯根が破折するリスクが飛躍的に高まります。
このように、自身の健康な体を永久的に傷つけ、将来的な歯の寿命を大幅に縮めるリスクと引き換えに美しさを手に入れるという構造自体が大きな肉体的制約です。
メンテナンスの拘束
セラミック治療が無事に終了した後も、その美しさと機能を長持ちさせるためには、永続的なメンテナンスと自己管理という行動の拘束が続きます。
セラミック自体は経年劣化や変色が少なく、表面にプラークが付きにくい優秀な素材です。
しかし、土台となる自身の歯や歯茎が歯周病や虫歯になってしまっては、せっかくのセラミックが脱落したり、最悪の場合は抜歯に至ったりします。
そのため、治療後は3ヶ月〜半年に1回程度のペースで、歯科医院でのプロフェッショナルケアや噛み合わせのチェックを受けることが不可欠です。
これに加え、就寝中の無意識な歯ぎしりや食いしばりによるセラミックの破損・破折を防ぐために、特製のマウスピースを装着して眠ることを義務づけられるケースが多々あります。
毎晩のマウスピース装着や、日々の徹底したデンタルフロス・歯間ブラシを用いたセルフケアは、患者にとって毎日の生活習慣や睡眠時の快適性を縛る行動的な拘束となります。
この定期検診やケアを怠ると、歯科医院の返金・やり替え保証の対象外になってしまうことが多いため、半永久的に歯科医院との緊密なつながりを断てないという縛りが発生します。
まとめ
セラミック治療は、高品質な治療がゆえに、患者さんにおける拘束が多くなるというのが事実です。
しかしこれは、セラミック治療そのものを否定するような要素ではありません。
また、拘束が生まれるということについては、セラミック治療以外の治療にも言えることです。
大切なのは、治療によってどのような拘束が発生するのかを把握し、納得した上で治療を受けることです。

