セラミック治療の大きなメリットと言えば、やはり作成する補綴物の審美性、機能性です。
自由診療ではありますが、銀歯やレジンなどと比べてはるかに質の高い補綴物が手に入ります。
またセラミック治療には、型取りにおけるメリットもあります。
今回はこちらの内容について、具体的に解説します。
セラミック治療の型取りにおけるメリット4選
セラミック治療の型取りにおけるメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・デジタルスキャンによる不快感の軽減
・高精度なデータ取得による適合性
・通院回数の削減と治療期間の短縮
・院内感染リスクの徹底排除とデータの長期保存
各メリットについて詳しく説明します。
デジタルスキャンによる不快感の軽減
従来のドロドロとした印象材を口いっぱいに詰め込む型取りは、多くの患者さんにとって精神的・身体的な負担が非常に大きいものでした。
特に嘔吐反射と呼ばれる、口の奥に物が入るとウッとなって吐き気を催してしまう体質の方にとって、型取りのシリコンや喉の奥に流れ込みそうになる数分間は、苦痛そのものです。
また材料が固まるまで息を詰めるようにしてじっと待たなければならず、鼻呼吸が苦しい方や顎関節症で長時間口を開けているのが辛い方にとっても大きな障壁でした。
しかし、現代のセラミック治療で導入が進んでいる口腔内スキャナーを用いたデジタル型取りは、この問題を劇的に解決します。
この技術では、小型の高性能カメラを口の中に入れ、歯の表面を数分間なぞるように撮影するだけで型取りが完了します。
従来の材料のように喉の奥に異物が流れ込むような感覚が一切ないため、嘔吐反射が強い方でもまったく問題なく検査を受けられます。
万が一途中で苦しくなったり、唾液が溜まったりした場合は、スキャンを一時中断して休憩を挟むことも可能です。
従来の型取りでは、途中で動いてしまうと材料が変形して最初からやり直しになっていましたが、デジタルスキャンなら中断した続きから再開できます。
このように息苦しさや味の不快感、恐怖心から解放され、非常にリラックスした状態で治療を受けられる点が、患者さんにとって最大のメリットと言えます。
高精度なデータ取得による適合性
デジタルスキャナーを用いた型取りは、従来の石膏模型を作るプロセスに比べて、材料の変形や歪みがほとんど発生しないため極めて高精度です。
従来の型取りには、人間の手作業によるいくつもの変形リスクが潜んでいました。
例えば、印象材が口の中で固まる際のわずかな収縮、型を口から外す際にかかる無理な力、技工所で石膏を流し込む際の膨張、さらには目に見えない微細な気泡の混入などです。
これら複数の段階で生じる小さなズレが積み重なることで、最終的な被せ物の精度に影響を与えていました。
一方で、光学スキャナーは1秒間に数千枚もの超高精細な画像を撮影し、瞬時にコンピューター上で3Dデータ化します。
これにより、歯と歯肉の境界線や、削った歯の細かな凹凸までミクロン単位で正確に再現することができます。
寸分の狂いもない精密なセラミック歯が作成できるため、口の中に装着した際の噛み合わせのズレが最小限に抑えられ、調整にかかる時間も短縮されます。
さらに自前の歯とセラミックの間に肉眼では見えないような隙間や段差が生じないため、その隙間に虫歯菌やプラークが侵入するのを防ぎます。
セラミック自体が汚れのつきにくい素材であることと相まって、治療後にもっとも懸念される二次虫歯のリスクを大幅に下げ、大切な歯の寿命を限界まで延ばすことが可能です。
通院回数の削減と治療期間の短縮
型取りがデジタル化されたことで、歯科医院と歯科技工所とのデータのやり取りやセラミックの作製スピードが飛躍的に向上し、治療期間を大幅に短縮できます。
従来の型取りの場合、口から取った型に石膏を流して模型を作り、それを郵送や宅配便で歯科技工所に送り、技工士が手作業でワックスを盛り、セラミックを焼き付けるという多くの工程を踏んでいました。
そのため型取りをしてから最終的な被せ物が出来上がり、口に装着できるまでに、通常であれば1週間~2週間程度の待機期間が必要でした。
しかしデジタル型取りであれば、スキャン完了と同時にその場で3Dデータがインターネット経由で技工所に送信されます。
物理的な輸送時間がゼロになるため、それだけで数日間の短縮になります。
さらに歯科クリニック内にCAD/CAMシステムが導入されている環境であれば、院内で即座にセラミックの設計と削り出しを行うことができます。
これにより、型取りをしたその日のうちにセラミックを装着して治療を完了させる即日治療も可能になりました。
仮歯の期間が最短で済むため、日常生活で仮歯が外れて恥ずかしい思いをしたり、隙間から冷たいものが染みて痛んだりするストレスがなくなります。
院内感染リスクの徹底排除とデータの長期保存
デジタルデータによる型取りは、物理的な材料を介さないため衛生面が極めて高く、将来的なトラブルにも迅速に対応できる安心感をもたらします。
従来の型取りでは、患者の唾液や血液が付着した印象材や石膏模型を院内で洗浄・消毒し、技工所へ輸送していました。
どれだけ入念に消毒を行っても、目に見えないウイルスや細菌による院内感染や技工士への感染リスクを完全にゼロにすることは困難でした。
しかしデジタルスキャンであれば、触れるのは滅菌されたスキャナーの先端チップのみであり、移動するのは純粋なデータだけです。
物理的な模型のやり取りが一切発生しないため、医療安全の観点から見ても非常にクリーンで衛生的な環境を保つことができます。
またもう一つの大きなメリットとして、取得した型取りデータはサーバーやクラウド上に半永久的にバックアップ保存される点が挙げられます。
従来の石膏模型は、経年劣化で欠けたり、保管場所の都合で一定期間が経つと破棄されたりするのが一般的でした。
将来装着したセラミックが不慮の事故や強い食いしばりなどで割れてしまっても、デジタルデータが残っていれば、再度あの苦しい型取りを行う必要はありません。
過去の正確なデータを呼び出し、以前と全く同じ形状のセラミックを迅速に再製作して、すぐに元の美しい状態に戻すことができるという、長期的な安心感が得られます。
まとめ
セラミック治療について、素材の審美性や機能性の高さはよく知られているところですが、実は型取りにおいてもこれだけのメリットがあります。
そのため、今後セラミック治療を検討している方は、型取りのメリットがあることも計算に入れた上で判断しましょう。
もちろん、セラミック治療と同じような目的で受けられる、他の治療と比較することも大切です。

