セラミック治療を受けようとする方の中には、普段さまざまな趣味を楽しんでいるという方もいるかと思います。
しかし、中にはセラミック治療と相性が良くない趣味というものが存在し、その一つがスキューバダイビングやサーフィンなどのマリンスポーツです。
今回はこちらの理由について解説します。
セラミック治療とマリンスポーツの相性が良くない理由4選
セラミック治療とマリンスポーツの相性が悪い理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・ダイビングによる内部破損リスク
・激しい食いしばり
・マウスピースによる摩擦と負荷
・微細な劣化と接着不良のリスク
各項目について詳しく説明します。
ダイビングによる内部破損リスク
スキューバダイビングなどを行う際、海中への潜水によって体や装備に強い水圧がかかります。
人間の歯の内部には、神経が通っている歯髄腔と呼ばれる空洞が存在します。
セラミック治療を施した歯の内部や、被せ物を固定する歯科用セメントの間にわずかな隙間が残っていると、水圧の上昇や下降に伴って隙間の空気が圧縮・膨張を繰り返します。
この現象はスクィーズと呼ばれ、ダイバーにとって一般的なトラブルの一つですが、セラミック治療を施した歯においては特に注意が必要です。
セラミックは非常に硬い素材である反面、局所的な応力変化や内部からの圧力に弱い脆性という性質を持っています。
隙間の空気が膨張した際、逃げ場を失った圧力がセラミックの内側から外側へと直接かかり、最悪の場合はセラミックが内部からパキッと割れてしまう原因になります。
また、水圧の変化は接着しているセメントの微小な剥離を誘発することもあり、これが原因で治療箇所に水が侵入し、内部で二次虫歯を発生させるリスクも高まります。
潜水深度が深くなればなるほどこのリスクは増大するため、セラミック治療の直後や、完全に密着していない状態でのダイビングは避けるべきだとされています。
激しい食いしばり
サーフィン、ウェイクボードなどのマリンスポーツは、体幹のバランスを維持したり、一瞬の爆発的なパワーを出したりするために、奥歯を強く食いしばる場面が多くあります。
人間が本気で食いしばったとき、奥歯には自身の体重の数倍もの過度な負荷がかかると言われています。
セラミックという素材は、天然の歯と同等以上の美しさと硬さを持っていますが、金属のようにたわむ性質がありません。
そのため、一点に集中した強い衝撃や、横方向からの不自然なねじれ負荷に対して脆いという弱点があります。
サーフィンで波に揉まれた際や、ボードの上でバランスを崩しそうになった瞬間にグッと強く噛み締めると、その衝撃を逃がすことができずセラミックが割れることがあります。
さらに、激しいライディング中にボードが顔面に衝突したり、落水時に水面に強く顔を叩きつけられたりする物理的なアクシデントも想定されます。
こうした外部からの直接的な衝撃に対しても、セラミックは金属製の被せ物に比べて格段に破損しやすいです。
アクティブな動きを伴うマリンスポーツ全般において、常に破損のリスクと隣り合わせになるという点で相性が悪いと言えます。
マウスピースによる摩擦と負荷
シュノーケリングやダイビングでは、呼吸を確保するためにゴムやシリコン製のマウスピースを常に口に咥え続ける必要があります。
このマウスピースを咥えるという行為そのものが、セラミック治療を施した前歯や小臼歯に対して持続的な異常負荷を与える原因となります。
マウスピースをしっかりと固定するために、数十分から数時間にわたって一定の力で噛み締め続けることになりますが、これにより特定の歯に持続的な側方圧がかかります。
セラミックは垂直方向の圧縮には強いものの、横からの力には弱いため、この持続的な摩擦と圧迫によってセラミックの表面に目に見えない微細なヒビが入ることがあります。
また、海中では波の抵抗や自分の動きによって、マウスピースが引っ張られたり動いたりします。
その振動や摩擦が直接セラミックに伝わることで、被せ物を固定している歯科用セメントが少しずつ摩耗し、接着力が低下してしまいます。
結果として、スポーツを楽しんでいる最中にセラミックが突然ポロッと脱落し、そのまま海中に紛失してしまうというトラブルが頻発します。
海の中で高額なセラミックを紛失すると回収は不可能なため、精神的・金銭的なダメージも大きくなります。
微細な劣化と接着不良のリスク
海という環境は、セラミック治療にとって非常に過酷です。
海水には大量の塩分やミネラルが含まれていて、これが口腔内に長時間滞留することで、セラミックを歯に固定しているセメントに対して化学的な影響を及ぼす可能性があります。
現代の歯科用セメントは非常に優秀ですが、長時間の浸水や塩分負荷により、目に見えないレベルで境界部分の微小な劣化が進むことがあります。
さらに深刻なのが、マリンスポーツ中に口に入り込む微細な砂の影響です。
海辺や波打ち際、落水時などに、口の中に細かい砂が侵入することは避けられません。
砂の粒子は非常に硬く、マウスピースを咥え直したり、口を動かしたりする際に、セラミックと天然歯の境界線に挟まり込むことがあります。
これがヤスリのような役割を果たし、セメントを削り取ったり、セラミックの表面を傷つけたりします。
セメントが微細に削られて隙間ができると、そこから塩水や細菌が侵入しやすくなり、セラミックの内部で密かに虫歯が進行する原因になります。
また、セラミック自体の滑らかな表面が砂の摩擦で傷つくと、そこに汚れやステインが着きやすくなり、せっかくの審美性が損なわれるリスクもあります。
自然環境ならではの複合的な物理・化学的要因が、セラミックの寿命を縮めてしまうということです。
まとめ
マリンスポーツを趣味で楽しんでいるという方は、改めてセラミックに与えるデメリットを考慮した上で、治療を受けるかどうか決定しましょう。
セラミック治療で使用する素材を選べば、マリンスポーツにおけるデメリットを最小限に抑えられるかもしれません。
ちなみにマリンスポーツ以外でいうと、格闘技などのコンタクトスポーツも、セラミック治療との相性は良くないと言えます。

