セラミックには、高い審美性と機能性を兼ね備えているという大きな特徴があります。
またここでいう機能性には、強度の高さや違和感の少なさの他、吸水性がほとんどないことも挙げられます。
今回は、セラミックの吸水性がないことによって得られる主なメリットについて解説します。
セラミックの吸水性がないことのメリット4選
セラミックの吸水性がないことにより、以下のようなメリットが生まれます。
・審美性を長く保つ
・二次虫歯のリスクを下げる
・歯周病と口臭を予防する
・磨耗や変質、金属アレルギーのリスクを排除する
各メリットについて詳しく説明します。
審美性を長く保つ
セラミックが持つ最大のメリットの一つは、素材自体に水分を吸い込む微細な穴が存在しないため、長期間使用しても変色や黄ばみが一切起こらない点です。
保険診療で多用されるコンポジットレジンは吸水性が高いため、日常の食事に含まれるカレーやコーヒーなど色素が水分とともに素材の内部まで深く浸透してしまいます。
そのため、治療直後は白く美しく見えても、数年が経過するうちに徐々に黄色く変色し、不自然な見た目になってしまうことが避けられません。
一方で、陶器やジルコニアに代表されるセラミック素材は吸水性がまったくないため、色の濃い飲食物を好んで摂取しても、色素が素材の内部に染み込むことは構造上あり得ません。
表面に一時的な着色汚れが付着することはあっても、日常の丁寧なブラッシングや歯科クリニックでの定期的なクリーニングによって簡単に白さを取り戻すことができます。
この“内部から劣化しない”という特異な性質により、10年20年と経過しても、周囲の天然歯と見分けがつかないほどの高い審美性を維持することが可能になります。
二次虫歯のリスクを下げる
吸水性がないことは、治療した歯が再び虫歯になる二次虫歯を防ぐための非常に強力なアドバンテージとなります。
吸水性の高いレジン素材は、口の中で唾液や水分を吸収し続けることで、素材自体が徐々に膨張と収縮を繰り返します。
また噛み合わせによる過度な圧力や経年劣化が加わることで、プラスチック分子の結合が弱まり、素材そのものが脆く劣化していきます。
これにより、歯と詰め物・被せ物を接着している境界部分に目に見えないほどの微細な隙間や段差が生じてしまいます。
このわずかな隙間に水分とともに虫歯菌が侵入すると、詰め物の下で静かに虫歯が再発し、気づいたときには土台の歯が大きく崩壊しているという事態を招きます。
これに対して、吸水性がないセラミックは、口の中の過酷な水分環境にさらされても、形状や体積が変化することが一切ありません。
素材としての寸法安定性が極めて高いため、歯科医師が精密に適合させた歯との境界線が長年にわたってぴったりと維持されます。
さらに、最新の接着技術と組み合わせることで、歯とセラミックが完全に一体化し、菌の侵入経路を完全に遮断します。
土台となる大切な天然歯の寿命を延ばすという意味でも、吸水性がない特性は大きな価値を持っています。
歯周病と口臭を予防する
セラミックの吸水性がない性質は、口の中の衛生環境を清潔に保ち、歯周病や不快な口臭を予防する上で劇的な効果を発揮します。
水分を吸収するプラスチック素材は、表面だけでなく内部や微細な構造にまで水分が保持されるため、細菌が繁殖しやすい温床になりやすいという構造的弱点があります。
さらに、レジンは摩耗しやすく表面に細かな傷がつきやすいため、その傷や吸水部位にプラークや細菌が強固にこびりつき、毎日のブラッシングだけでは除去しきれなくなります。
これが原因で、治療した歯の周囲の歯茎が炎症を起こして歯周病が進行したり、細菌が産生するガスによって口臭が発生したりするリスクが高まります。
しかし、セラミックは吸水性が皆無であることに加え、皿の表面のように非常に滑らかで緻密な質感を持っています。
水分も細菌も弾く性質があるため、プラークの主成分である細菌群が素材の表面に定着することが物理的に困難です。
万が一汚れが付着した場合でも、うがいや軽いブラッシングだけで驚くほど簡単に洗い流すことができます。
歯肉との境界部分も常に清潔に保たれるため、歯周ポケットへの細菌流入を防ぎ、引き締まった健康的なピンク色の歯茎を維持することができます。
磨耗や変質、金属アレルギーのリスクを排除する
吸水性がないということは、水分や唾液によって素材の成分が変質・分解せず、長期間にわたり高い安全性を保ち続けられることを意味します。
保険診療で使われる金属は吸水性こそありませんが、唾液という水分に常に触れていることで、金属イオンが徐々に溶け出す電気化学的腐食を起こします。
これにより、歯茎が黒ずむメタルタトゥーが発生したり、溶け出した金属が体内に取り込まれることで突然の金属アレルギーを発症したりする危険性があります。
また、レジンは吸水によって素材自体の強度が著しく低下し、噛み合わせの力によって表面がどんどん摩耗してすり減っていくため、噛み合わせの高さが狂う原因になります。
セラミックは完全に焼き固められた無機質であるため、口の中の水分、酸、アルカリといったあらゆる化学刺激に対して完全に不活性です。
水分を吸って成分が加水分解されることもなければ、唾液に物質が溶け出すことも一切ありません。
そのため、生体親和性が極めて高く、アレルギー体質の方でも安心して一生涯使い続けることができます。
さらに吸水による強度の低下が起こらないため、ジルコニアなどの高強度セラミックであれば奥歯の強い力に長年耐え抜くことができ、噛み合わせを維持できます。
まとめ
セラミックの吸水性がないことにより、素材そのものの寿命が長くなりますし、その上口内でトラブルが発生するリスクも下げられます。
そのため、セラミックは他の素材に比べて高価ではありますが、コストパフォーマンスという点ではかなり優れていると言えます。
現時点では保険診療での虫歯治療しか考えていない方も、一度セラミック治療について詳しく理解すれば、考えが変わるかもしれません。

