セラミック治療は、虫歯治療の際や失った歯を埋める際などに用いられる、審美的要素の強い治療です。
またセラミック治療は、1本だけでなく複数本を治療対象とすることも可能です。
今回は、複数の歯をセラミックに替えるときの一般的な流れについて解説します。
カウンセリング・精密検査と治療計画の策定
セラミック治療を複数本行う場合、最初のステップとして徹底したカウンセリングと精密検査を行います。
まずは患者さんが抱える「歯並びを綺麗にしたい」「歯の色を白くしたい」「古い銀歯をすべて無くしたい」といったご要望をヒアリングします。
その後レントゲン撮影、歯科用CT、お口の中の写真撮影、そして歯型の採取などを行い、現状の骨の状態や虫歯・歯周病の有無、噛み合わせを正確に把握します。
複数本の治療では、単に1本の歯を綺麗にするだけでなく、口全体のバランスを考慮しなければなりません。
そのため、検査データを基にコンピュータ上でシミュレーションを行ったり、模型を作製して完成形のイメージを視覚的に共有したりします。
またセラミックを被せる土台となる歯や歯茎に問題がある場合は、セラミック治療に入る前にそれらの治療を優先して行う計画を立てます。
この段階で、治療にかかる総額、治療期間、使用するセラミックの材質のメリット・デメリットを詳しく説明し、患者さんが納得した上で次のステップへと進みます。
歯の切削と精密な仮歯の作製・調整
治療計画が決定したら、対象となる複数本の歯を削る処置に移行します。
セラミックの被せ物や詰め物をしっかりと固定し、十分な強度を持たせるためには、歯を一定の厚み分だけ均一に削る必要があります。
複数本を同時に削る際は、それぞれの歯の向きや全体の平行性を揃える高度な技術が求められます。
処置中の痛みを抑えるために局所麻酔を使用し、歯髄への刺激を最小限に抑えながら慎重に形を整えていきます。
歯を削った後は、その日のうちに必ず仮歯を装着します。
複数本の歯を削ったまま放置すると、冷たいものがしみたり、見た目が損なわれたりするだけでなく、数日で歯が動いて噛み合わせが変わってしまうリスクがあるためです。
この仮歯は、単なる見た目のごまかしではありません。
実際に日常生活で食事や会話をしていただきながら、噛み合わせに違和感がないか、話しにくさはないか、歯茎のラインと調和しているかなどを検証するための重要なツールです。
必要に応じて仮歯を削ったり足したりして、理想的な形を模索します。
精密な型取りとセラミックの製作
仮歯で噛み合わせや見た目のシミュレーションを行い、問題がないことを確認した段階で、最終的なセラミックを作るための型取りを行います。
複数本の型取りは、わずかなズレが全体の噛み合わせの崩れに直結するため、極めて精密に行われます。
従来通りのシリコン製の高精度な型取り材を口の中に流し込んで採得する方法や、近年普及している口腔内スキャナーを用いてお口の中を3Dデジタルデータとして読み込む方法があります。
同時に、周囲の天然歯となじむ自然な色合いにするため、専用のシェードガイドを用いて細かく色調を測定し、写真に記録します。
これらの精密な型取りデータや色調データ、そして仮歯での調整記録がすべて歯科技工所へと送られます。
歯科技工所では、専門の歯科技工士がデータを基に、ジルコニアのブロックを削り出したり、セラミックの粉末を盛り付けて焼き固めたりしながら、1本1本丁寧にセラミックを製作します。
複数本の場合は、隣り合う歯との接触関係や、上下の歯がカチッと噛み合う際の当たり方のバランスを、技工士の職人技とデジタル技術を融合させて精密に作り込みます。
セラミックの試適・装着と最終調整
こちらは、完成したセラミックを実際に口の中に合わせていく最終ステップです。
まずこれまで使用していた仮歯を外し、削った歯の表面をキレイに洗浄します。
その後、製作されたセラミックを仮に配置して試適を行います。
ここでは、歯科医師がマイクロスコープ等を用いて、歯とセラミックの間にわずかな隙間や段差がないか、隣の歯とのキツさは適切か、噛み合わせた時に特定の場所だけ強く当たっていないかなどをチェックします。
また、患者さん自身にも鏡で確認してもらい、色味や形、全体のボリューム感に納得がいけば、いよいよ本番の接着へと進みます。
接着には、歯科用の高性能なレジンセメントを使用します。
複数本を一斉に、あるいは順番に、湿気を防ぎながら強固に一体化させます。
完全に接着した後は、はみ出た余分なセメントを綺麗に除去し、最後に実際に食事をする時の顎の動きに合わせて、噛み合わせの微調整を行います。
すべてのセラミックが美しく調和して機能することを確認し、一連の治療プロセスが完了します。
治療後は、長持ちさせるために定期的なメインテナンスと歯ぎしり対策のマウスピース着用が推奨されます。
まとめ
セラミック治療は数ある審美治療の中でも非常に人気であり、複数本をセラミックにするケースも決して珍しくはありません。
しかし、複数本を天然歯に近い補綴物にする方法で言えば、インプラントなど他の選択肢もあります。
そのため、すべての選択肢のメリット・デメリットを把握した上で、最適なものを選ぶ必要があります。

