セラミック治療のメリットとしては、まるで天然歯のような補綴物を手に入れられること、見た目の美しさが大幅に向上することです。
またセラミックの歯には、舌を傷付けないというメリットもあります。
今回は、こちらのメリットについて詳しく解説したいと思います。
セラミック素材の高い平滑性
セラミックの最大の強みの一つは、素材そのものの密度が高く、表面を非常に滑らかに仕上げられる点にあります。
歯科用セラミックは、焼き固められた後に高度な研磨やグレーズと呼ばれる特殊な処理が施されます。
これにより、顕微鏡レベルで見ても凹凸がほとんどない、ガラスのような鏡面状態が作り出されます。
舌は非常に敏感な器官であり、髪の毛が一本触れただけでも異物感を察知するほど繊細です。
従来の金属治療やプラスチックの治療では、素材の特性上、経年変化によって表面に微細な傷がついたり、ざらつきが生じたりしやすくなります。
その結果、舌が触れたときに「チクチクする」「擦れて痛い」といった症状を引き起こすことがあります。
一方で、セラミックは水分を吸収せず、傷がつきにくい硬度を持っています。
治療直後のツルツルとした快適な質感が長期にわたって維持されるため、舌が日常的に擦れても粘膜を傷つけるリスクが極めて低くなります。
摩擦によるストレスがないため、口の中の違和感を大幅に軽減できるのが大きなメリットです。
精密な適合性とガルバニー電流の排除
セラミック治療では、多くの場合マイクロスコープや口腔内スキャナー(CAD/CAM)といった最先端のデジタル技術が駆使されます。
これにより、歯とセラミックの詰め物・被せ物の間に生まれるギャップをミクロン単位でなくすことが可能です。
段差や鋭い突起がないため、舌が引っかかる原因を根本から排除できます。
さらに、セラミックは完全なノンメタルです。
口の中に異なる種類の金属が存在すると、唾液を介してガルバニー電流と呼ばれる微弱な電流が発生することがあります。
この電流は、舌にピリピリとした痛みやしびれ、味覚障害を引き起こす原因になることが知られています。
銀歯などの金属治療では、舌が金属の角に触れる物理的な刺激だけでなく、この電気的な刺激によって舌を痛めてしまうケースが少なくありません。
セラミック治療は、電気的な刺激が一切発生しないため、物理面と化学面の両方から、舌の健康と安全を守ることができる優れた選択肢となります。
金属アレルギーによる舌炎、粘膜異常の予防
口の中の金属は、毎日の食事や唾液によって長い時間をかけてゆっくりとイオン化し、体内に溶け出していきます。
これが原因で引き起こされる金属アレルギーは、手のひらや足の裏だけでなく、口腔内の粘膜、特に対象の金属に触れやすい舌の側面に強い症状を現すことがあります。
具体的には、舌の表面が赤く腫れ上がる扁平苔癬や、慢性的な潰瘍、ピリピリとした痛みを伴う舌炎などです。
これらは一見すると舌が傷ついているように見えますが、実際は金属に対する拒絶反応、いわゆるアレルギー症状である場合が多々あります。
セラミックは生体親和性が非常に高い材料であり、生体内で劣化したり成分が溶け出したりすることがありません。
整形外科の人工関節などにも使われるほど安全性が高く、アレルギー反応を引き起こすリスクがほぼゼロです。
そのため、金属由来の炎症によって舌の粘膜がただれたり、傷ついたりするリスクを確実に防ぐことができます。
経年劣化しにくく角が立ちにくい
歯科治療で使われるプラスチックであるコンポジットレジンは、時間の経過とともに唾液を吸収して水分を含み、徐々に強度が低下します。
また、毎日のブラッシングや咀嚼によって表面が摩耗しやすく、気づかないうちに削れて鋭利な角ができてしまうことがあります。
銀歯もまた、強い力で噛み続けることで金属自体が展延し、歯との境目に鋭い段差が生じることがあります。
これに対して、セラミックは非常に高い硬度と安定性を誇ります。
数年、数十年と口の中で使用しても、すり減ったり変形したりすることがほとんどありません。
初期のなだらかな形態をそのまま維持できるため、長期間が経過しても急に角が立って舌に刺さるようになったというトラブルが起きにくいのです。
ただし、万が一強い衝撃でセラミックが破折した場合は、その断面がガラスのように鋭利になり、舌を強く傷つける原因になります。
そのため、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガードと呼ばれるマウスピースを併用するなど、適切なアフターケアを行うことでセラミックの健全性を保ち、舌を守ることが大切です。
まとめ
セラミックは舌を傷付ける心配が少なく、その他患者さんの身体に悪影響を及ぼすようなことも基本的にはありません。
金属を使用せず、それでいて安全性や耐久性は確保されています。
ただし、すべての患者さんにセラミックが向いているとは限りません。
他の補綴物の方が適しているケースもあるため、できる限り多くの選択肢について把握しておくことが重要です。

