セラミックのインレーやクラウンについては、虫歯を治療したときの補綴物として採用されることが多いです。
またその他には、すでに装着している銀歯を取り外し、セラミックに交換するというケースもあります。
今回は、銀歯をセラミックに変える場合の注意点について解説します。
銀歯をセラミックに変える場合の注意点4選
銀歯を取り外してセラミックに変える場合、以下の点には注意が必要です。
・自由診療による費用負担
・歯を削る量が増える
・歯ぎしりや食いしばりによる破損
・二次虫歯を防ぐためのメンテナンス
各項目について詳しく説明します。
自由診療による費用負担
銀歯をセラミックに変える際、もっとも大きな壁となるのが費用面です。
銀歯は健康保険が適用されるため、自己負担は数千円で済みますが、セラミックは自由診療となります。
歯科クリニックが自由に価格を設定できるため、インレーで5万〜10万円、クラウンで10万〜20万円ほどかかるのが一般的です。
さらに、セラミックの質や型取りの精度を上げるためのシリコン印象材の使用、接着剤のグレードによっても費用は変動します。
また単に「安いから」という理由だけで選ぶのは危険です。
高額な治療だからこそ、万が一割れたり脱落したりした際の保証期間と保証条件を詳細に確認しておく必要があります。
多くの歯科クリニックでは3年〜5年の保証を設けていますが、これには“3ヶ月〜半年に一度の定期検診を必ず受けること”という条件が付帯しているケースがほとんどです。
検診を怠ると保証対象外となり、再製作に全額費用がかかるトラブルも少なくありません。
治療費には、その後のメンテナンス料や保証のリスクヘッジも含まれていると考え、トータルでのコストパフォーマンスを判断することが重要です。
歯を削る量が増える
セラミック治療において、銀歯と比較して見落とされがちなのが歯を削る量の違いです。
金属製の銀歯は強度が非常に高いため、0.5mm程度の薄さでも割れることがなく、自分の歯を削る量を最小限に抑えられます。
一方セラミックは陶器の一種であるため、あまりに薄く作ると噛む力に耐えきれず割れてしまいます。
十分な強度を確保するためには、素材ごとに決められた最低限の厚みが必要であり、その分、健康な自分の歯をより深く、広く削らなければなりません。
この削る量の増加は、歯の内部にある神経にとって大きな負担となります。
神経までの距離が近くなることで、治療直後に冷たいものがしみる、噛むと響くといった知覚過敏のような症状が出やすくなります。
多くの場合数週間から数ヶ月で落ち着きますが、削った際の摩擦熱や振動、象牙質の露出によって神経が炎症を起こすと、神経を抜く処置が必要になるリスクもゼロではありません。
歯ぎしりや食いしばりによる破損
セラミックは非常に硬い素材ですが、実は柔軟性がないという弱点があります。
特に就寝中の無意識な歯ぎしりや、日中の食いしばりの癖がある方は注意が必要です。
銀歯であれば強い力がかかっても素材自体がわずかに変形して力を逃がしますが、セラミックは一定の限界を超えるとパリンと割れたり、細かなヒビが入ったりします。
またセラミックの硬さが自分の天然の歯、特に対合する噛み合わせの歯を過剰に削ってしまう対合歯摩耗を引き起こすリスクもあります。
このリスクを回避するためには、素材選びが鍵となります。
ダイヤモンドに近い強度を持つフルジルコニアを選択するか、セラミックにプラスチックを混ぜて弾力を持たせたハイブリッドセラミックを選ぶといった対策が考えられます。
さらに治療後には必ずナイトガードというマウスピースを製作し、毎晩装着することが推奨されます。
ナイトガードはセラミックにかかる過度な衝撃を分散させ、せっかく入れた高価な修復物を守るための必須アイテムです。
二次虫歯を防ぐためのメンテナンス
「セラミックにすればもう虫歯にならない」というのは大きな誤解です。
確かにセラミック自体は無機質なので虫歯になりませんが、セラミックと自分の歯の継ぎ目から細菌が侵入し、その下で虫歯が再発する二次虫歯のリスクは常に存在します。
銀歯は経年劣化により金属が溶け出し、歯との間に隙間ができやすいですが、セラミックは劣化しにくい反面、装着時の接着の質が寿命を大きく左右します。
現代のセラミック治療は、単にセメントで固めるのではなく、化学的に歯と一体化させる接着技法を用います。
この工程で防湿が不十分だったり、接着手順を誤ったりすると、目に見えない隙間が生じて二次虫歯の原因となります。
またセラミックの表面は滑らかで汚れが付きにくい性質がありますが、歯茎との境目はプラークが溜まりやすく、歯周病のリスクも伴います。
一度二次虫歯になると、せっかくのセラミックを壊して外さなければならず、さらに自分の歯を削ることになります。
これを防ぐには、毎日の徹底したセルフケアはもちろん、定期検診でプロによる高圧洗浄や噛み合わせのチェックを受けることが不可欠です。
まとめ
銀歯をセラミックに変えるという選択肢は、金属の見た目が気になる方にとってポピュラーな選択肢です。
しかし、すべての機能について、セラミックが銀歯よりも優れているというわけではありません。
患者さんによっては、セラミック治療の費用や歯を削る工程を良く思わないこともあるため、必ず双方のメリット・デメリットについては把握しておきましょう。

