セラミック治療を受ける方は、前もって歯ぎしりの症状を改善させておかなければいけません。
なぜなら、歯ぎしりはセラミックの素材との相性が悪いからです。
また歯ぎしりがある方でも、ナイトガードを装着すればセラミック治療を受けられる可能性があります。
今回はナイトガードの詳細を中心に解説します。
歯ぎしりがセラミックに与える影響
歯ぎしりを一切改善しないままセラミック治療を受けると、破損や摩耗、噛み合わせの変化や接着不良などのトラブルにつながります。
就寝中に行われる歯ぎしりでかかる力は、普段咀嚼するときの数十倍にも上ります。
このような力がセラミックに加わると、欠けたり割れたりするリスクが高まります。
またセラミックは天然歯よりも硬度がありますが、頻繁に歯ぎしりが行われる場合、表面が摩耗することがあります。
こちらは噛み合わせの変化につながり、他の歯や顎関節に負担をかけることにもなります。
さらに歯ぎしりによる力は、セラミックと歯を接着しているセメントに負担をかけ、接着不良を引き起こすことも考えられます。
ナイトガードとは?
ナイトガードは、睡眠中に装着するマウスピース型の器具です。
スプリントなどと呼ばれることもあります。
歯ぎしりや食いしばりから歯や顎関節を守るために使用され、作製は歯科クリニックで行われます。
またナイトガードには、ソフトタイプとハードタイプがあります。
ソフトタイプは比較的やわらかい素材でできていて、装着時の違和感が少ないものの、噛む力が強い場合は破損しやすいという特徴があります。
一方ハードタイプは硬い素材であり、耐久性が強く噛む力が強い方にはおすすめですが、初めて装着したときの違和感が強い傾向にあります。
セラミック治療を受けながらナイトガードを使用するメリット
セラミック治療を受けながらナイトガードを併用するメリットには、主に以下のことが挙げられます。
・セラミックを保護できる
・噛み合わせを維持できる
・適宜調整ができる
各メリットについて詳しく解説します。
セラミックを保護できる
ナイトガードにおける最大のメリットは、やはり装着することでセラミックを保護できるという点です。
セラミックは数ある歯科材料の中でも高い硬度を持っていますが、瞬間的な衝撃にはあまり強くありません。
ここでいう瞬間的な衝撃には、歯ぎしりによる歯へ負担も含まれます。
ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりによる物理的なダメージを防ぐためのものです。
そのため、セラミック治療を受けながら使用することで、最後まで問題なく治療が完了する可能性が高いです。
もちろん、セラミック治療が完了した後も、セラミックの状態を良好に保つためにナイトガードを継続すべきです。
噛み合わせを維持できる
ナイトガードを使用すれば、セラミックへのダメージが軽減され、噛み合わせも維持しやすくなります。
セラミックが歯ぎしりや食いしばりによって磨耗すると、その問題はセラミックの歯だけにとどまらなくなります。
歯列は非常にデリケートなものであるため、1本でも噛み合わせがおかしくなれば、全体的な狂いが生じます。
その結果、満足に食事が摂れなくなったり、以前と比べてブラッシングがしにくくなったりすることがあります。
ナイトガードを併用すれば、セラミックの摩耗による噛み合わせの変化が起こりにくいため、それに付随する問題も回避しやすくなります。
適宜調整ができる
ナイトガードは市販のものではなく、歯科クリニックで作製されるものです。
そのため、患者さん一人ひとりの口内にピッタリ合ったものを使用できます。
またナイトガードはあくまで人工物であるため、使用しているうちにどうしても適合性が悪くなってくることもあります。
しかし、このような問題も、歯科クリニックで調整してもらうことですぐに解決できます。
つまり調整さえできれば、ナイトガードで長期間セラミックの歯を守り続けられるということです。
ナイトガードの注意点について
セラミック治療と併用できるナイトガードですが、こちらは初めて装着するとき、異物感や違和感を覚えることがあります。
そのため、口内にものを入れるのが苦手な方は、慣れるのに苦労することが考えられます。
またナイトガードを正しく清掃していないと、細菌が繁殖して口臭や歯周病の原因になることもあります。
さらに、ナイトガードは熱によって変形するため、メンテナンスの際は熱湯を使用してはいけません。
もちろん、ナイトガードは歯科クリニックで作製するものであるため、単純にセラミック治療のみを受ける場合よりも費用が高くなります。
まとめ
せっかくセラミック治療を受けるのであれば、治療中や治療後のトラブルにつながる要素はなるべく排除しておきたいところです。
原則自由診療のセラミック治療をやり直すとなると、治療費はかなり高くなります。
また歯ぎしりや食いしばりは、本人に発症している自覚がないことも考えられます。
そのため、セラミック治療を受ける際は、まず歯ぎしりや食いしばりが出ていないかを検査することが望ましいです。