セラミック治療で使用される素材は、さまざまな種類があります。
特に一般的なものとして、セラミックインレーやセラミッククラウンが挙げられますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、セラミックインレーとセラミッククラウンの主な違いを解説します。
セラミックインレーとセラミッククラウンの違い6選
セラミック治療を取り扱う歯科クリニックであれば、基本的にこれら2つの補綴物は提供されています。
またこれらの違いについては、主に以下のことが挙げられます。
・治療対象
・治療方法
・歯の強度
・費用
・リスク
・審美性
各項目について詳しく説明します。
治療対象
セラミックインレーとセラミッククラウンとでは、まず治療対象となる歯が異なります。
セラミックインレーは、歯を削る量が少ない、比較的小さな虫歯が対象になります。
そのため、適用するには定期的に歯科クリニックに通い、なるべく早く虫歯を見つけることが大切です。
一方セラミッククラウンは、虫歯の範囲が広い場合に適用される補綴物です。
もしくは、虫歯が重度にまで進行し、神経の治療を行った場合に用いられます。
治療方法
セラミックインレーとセラミッククラウンとでは、治療方法も異なります。
セラミックインレーは、虫歯を削った後、歯の一部を補う形でセラミックの詰め物を装着します。
インレーには“詰め物”という意味があります。
これに対しセラミッククラウンは、歯全体を大きく削り、その上からセラミックの被せ物を装着します。
セラミックインレーが歯を埋めるのに対し、セラミッククラウンは歯の代わりにセラミック素材を被せるというイメージです。
歯の強度
歯の強度についても、セラミックインレーとセラミッククラウンとでは変わってきます。
セラミックインレーはあくまで部分的な修復であるため、クラウンに比べて強度がやや劣ります。
一方、セラミッククラウンは歯全体を覆うため、歯を保護する効果が高く、強度も高いです。
ただしどちらの補綴物にも言えるのは、瞬間的な強い衝撃には弱いということです。
例えば転倒して歯をぶつけてしまったときなどは、どちらも破折のリスクが高まります。
費用
セラミックインレーとセラミッククラウンは、似て非なるものであるため、当然治療費も変わってきます。
セラミックインレーは、クラウンに比べて治療範囲が狭いため、費用が比較的抑えられる傾向にあります。
一方、セラミッククラウンは治療範囲が広いため、インレーよりも高額になりやすいです。
ちなみに金額の相場としては、セラミックインレーが3万円~11万円であるのに対し、セラミッククラウンは6万6,000円~22万円程度かかります。
つまり、場合によっては倍以上金額が変わってくるということです。
もちろん上記は歯1本あたりの金額であるため、複数の歯でセラミック治療を適用する場合はさらに高額になります。
リスク
セラミックインレーとセラミッククラウンの異なる点としては、治療におけるリスクも挙げられます。
セラミックインレーは、詰め物が外れたり、歯と詰め物の隙間から二次虫歯を発症したりといったリスクがあります。
銀歯など保険診療の素材と比べるとこちらのリスクは低いですが、完全に発症させないようにすることは不可能です。
これに対しセラミッククラウンは、神経が残っている場合、歯を削る量が多くなることで術後に痛みを感じるケースがあります。
どちらも優れた補綴物ではありますが、異なるリスクがあることは留意しておきましょう。
審美性
審美性についても、セラミックインレーとセラミッククラウンとでは少し異なります。
セラミックインレーは、天然歯に近い透明感や色調を再現できます。
しかし、歯全体に占めるセラミックの割合は多くありません。
一方、セラミッククラウンは歯全体に占めるセラミックの割合が多く、インレーよりもさらに美しい仕上がりになることが期待できます。
どちらの補綴物を選ぶべき?
セラミックインレーを選ぶべきなのは、虫歯が初期段階で削る部分が少ない方、健康な歯の大部分を残したい方です。
セラミッククラウンになると、どうしても削る部分が多くなってしまいます。
またセラミックは高品質の素材ではありますが、天然歯より品質が高いということはありません。
そのため、少しでも天然歯を残したい方はインレーを試してみましょう。
一方セラミッククラウンを選ぶべきなのは、虫歯が大きく進行し、歯の大部分が欠損している方や、根管治療を行った方です。
さらに、歯の色や形を大きく改善したい方も、セラミッククラウンがおすすめです。
まとめ
セラミック治療では当然すべてのケースでセラミック素材が使用されますが、これらはどれを適用しても同じ効果が得られるわけではありません。
特にインレーとクラウンについては、まったくの別物と考えても良いかもしれません。
またハイブリッドセラミックやジルコニアなど、何でできているかという違いもあるため、セラミック治療はとても奥が深いです。

