虫歯治療を受けたとき、歯の補綴物としてセラミックが使用されることがあります。
こちらは人気の高い素材ですが、同じように虫歯の治療時にはコンポジットレジンというものが装着されるケースもあります。
今回は、セラミックとコンポジットレジンの主な違いについて解説します。
セラミックとコンポジットレジンの違い6選
セラミックとコンポジットレジンはどちらも虫歯治療時に適用されますが、以下のような違いがあります。
・審美性
・強度、耐久性
・適用範囲
・費用
・治療期間
・二次虫歯のリスク
各項目について詳しく説明します。
審美性
セラミックとコンポジットレジンとでは、まず素材の審美性が異なります。
コンポジットレジンは、ある程度自然な色をしているものの、そこまで透明感はありません。
また経年劣化により、着色や変色が起こりやすいため、装着から時間が経てば経つほど審美性は失われていきます。
一方、セラミックは非常に審美性の高い補綴物です。
天然歯に限りなく近い透明感や光沢を再現できる上に、経年劣化による色の変化もほとんど見られません。
そのため、美しさを重視するのであれば、コンポジットレジンよりもセラミックを選ぶべきだと言えます。
天然歯の隣に適用しても、セラミックであればほとんど違和感はありません。
強度、耐久性
セラミックとコンポジットレジンとでは、素材の強度や耐久性にも違いがあります。
コンポジットレジンの耐久性は、お世辞にも高いとは言えません。
歯科用のプラスチックでできているため、セラミックや金属に比べて強度が劣り、長年使用することで割れたり欠けたりするリスクが高まります。
これに対しセラミックは、強度も高い素材として有名です。
天然歯と同等の硬さを持っているため、問題なく使用していればかなり長持ちするケースが多いです。
また天然歯と似たような硬さであることから、噛み合う天然歯を磨耗させることもほとんどありません。
こちらは、噛み合わせの悪化を防ぐことにつながります。
適用範囲
適用範囲も、セラミックとコンポジットレジンの異なる点です。
コンポジットレジンは、基本的に小さな虫歯や欠けた部分の修復に適用されます。
また、前歯の隙間を埋めることなどにも適していますが、そこまで適用範囲が広いわけではありません。
一方、セラミックは比較的大きな虫歯にも適用できるため、広範囲の治療が可能です。
例えば神経にまで達してしまったような虫歯であっても、しっかり汚れを取り除く根管治療を受ければ、そこにセラミックを適用させることは可能です。
費用
セラミックとコンポジットレジンとでは、費用にもかなりの差があります。
コンポジットレジンはプラスチックであり、装着の際には保険が適用されます。
保険診療の場合、患者さんは治療費全体の3割を支払うだけで済むため、比較的安価な治療費を支払うことになります。
これに対し、セラミックは保険が適用されない自由診療です。
セラミックは審美目的が強い上に、高級な素材でもあります。
そのため、歯科クリニックではこれを保険診療として適用することが基本的にはできません。
つまり、セラミックの方が質は良いものの、それに見合った高額な治療費を支払わなければいけないということです。
ちなみにコンポジットレジンは、1本あたり1,500～2,000円程度で装着できます。
一方、セラミックは1本あたり5万～20万円が相場であり、かなりの金額差があります。
治療期間
セラミックとコンポジットレジンには、装着が完了するまでの治療期間にも違いがあります。
コンポジットレジンは、歯に直接詰めるタイプの補綴物であるため、ほとんどの場合1日で治療が完了します。
そのため、仕事などが忙しく、なかなか歯科クリニックに通う暇がない方にとってはメリットです。
一方、セラミックは患部を治療するだけでなく、型取りをして患者さん専用の補綴物を作製しなければいけません。
このことから、1回で治療が完了するということはありません。
必ず複数回の通院が求められます。
二次虫歯のリスク
セラミックとコンポジットレジンとでは、二次虫歯のリスクについても違いがあります。
コンポジットレジンはセラミックに比べて天然歯との密着度が低く、劣化に伴って隙間ができます。
この隙間から細菌が入り込み、二次虫歯を発症するリスクがあります。
一方、セラミックは天然歯とピッタリ密着するため、隙間ができにくく、二次虫歯のリスクも低いです。
またセラミックは隙間ができにくいだけでなく、表面にプラークがこびりついてしまうケースも少ないです。
まとめ
セラミックとコンポジットレジンには、どちらも長所と短所がありますが、いずれかで悩んでいる場合、基本的にはセラミックを選ぶべきだと言えます。
確かに費用がかかるのはセラミックの方ですが、それ以外に補って余りあるメリットが数多く存在します。
費用を抑えたい方はコンポジットレジンでも構いませんが、ある程度セラミックよりも品質が落ちることはあらかじめ理解しておきましょう。
