セラミックは銀歯やレジンといった保険診療の補綴物とは違い、高い審美性と適合性、耐久性を兼ね備えています。
しかし、治療後に二次虫歯が起こらないのかというと、決してそういうわけではありません。
またセラミックの二次虫歯は、発見しにくいため非常に厄介です。
今回はこちらの理由を中心に解説します。
セラミックの二次虫歯が発見しにくい理由4選
二次虫歯は、一度虫歯を治療した部分で再び発症する虫歯です。
セラミックの二次虫歯が発見しにくい理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・目で確認できない
・痛みが少ない
・レントゲンを透過しない
・“セラミックは虫歯にならない”という油断
各項目について詳しく説明します。
目で確認できない
セラミックで発症した二次虫歯は、通常の虫歯と違って目で確認することができません。
そのため、発見が遅れやすい傾向にあります。
通常の虫歯は、歯の見える位置に穴が開いたり、黒くなったりします。
そのため、こまめに鏡で確認していれば変化にすぐ気付けます。
一方、二次虫歯は装着したセラミックの下で発生するものです。
つまり虫歯の部分にセラミックが被さっているため、穴や色の変化などを確認できないということです。
痛みが少ない
セラミックの二次虫歯は、痛みがほとんどありません。
こちらは、直接食事やブラッシングなどの刺激が加わることがないからです。
セラミックと天然歯の隙間から細菌が入り込み、内部で発生するのが二次虫歯です。
そのため、歯の表面に刺激が加わっても痛くありません。
またセラミック治療は、重度の虫歯治療とあわせて行われることがあります。
このようなケースでは、すでに歯の神経を除去していることが考えられます。
神経は痛みを感知する器官であるため、こちらが取り除かれている場合は当然痛みを感じなくなります。
レントゲンを透過しない
天然歯とは違い、セラミックにはレントゲンを透過しないという特徴があります。
こちらも、二次虫歯を発見しにくい理由の一つです。
歯科クリニックで定期検診を行う際は、レントゲン撮影などで口内の状況を細かくチェックすることがあります。
このときセラミックはレントゲンを透過しないため、内部で虫歯が発生していたとしても、レントゲンだけでは発見が難しい場合があります。
“セラミックは虫歯にならない”という油断
セラミック治療を受けた方は、それだけで満足してしまい、これまでよりもブラッシングなどのケアがおろそかになることがあります。
また中にはセラミックの品質を過大評価してしまい、“セラミックは虫歯にならない”と思い込んでいる方もいます。
このようなケースでは、セラミックで二次虫歯が発生していることなどまったく頭になく、治療後のメンテナンスにも通わなくなることが多いです。
その結果、なかなか二次虫歯を発見できず、気付いた頃には重度にまで進行していることもあります。
セラミックで二次虫歯を発症する原因
セラミックで二次虫歯を発症する主な原因は以下の通りです。
・セラミックの劣化
・セメントの劣化
・プラークの蓄積
・定期検診の怠慢
セラミックは高品質な素材ではありますが、他の素材と同じように使用していると徐々に劣化していきます。
その結果、形状が変化して天然歯との間から細菌が入りやすくなります。
またセラミックと天然歯を固定するセメントは強固な接着力を誇りますが、こちらも時間が経過すると劣化していきます。
さらに単純にブラッシングを怠ってしまい、プラークが蓄積することも、セラミックで二次虫歯を発症する原因の一つです。
ちなみに、セラミック治療後に歯科クリニックで定期検診を受けていなかった場合も、二次虫歯の早期発見は難しくなります。
セラミックは二次虫歯が起こりにくい
セラミックの二次虫歯は発見しにくいという話をしましたが、他の素材に比べると二次虫歯のリスクが低いのは事実です。
セラミックは表面が滑らかであり、プラークが付着しにくいです。
そのため虫歯菌も寄り付きにくく、二次虫歯のリスクを低減します。
またセラミックは天然歯との適合性が高く、隙間ができにくいため、虫歯菌が入り込むリスクも低いです。
ただし、セラミックには寿命が存在します。
一般的に10~15年程度で寿命が来るとされているため、それ以上使用した場合は少しずつ二次虫歯のリスクが上がっていきます。
もちろん15年以上使用している場合でも、定期検診を欠かさず受け、一切問題ないことが証明されれば、その先も使い続けることができます。
場合によっては、20年以上経っても問題なく使える可能性があります。
まとめ
二次虫歯は、通常の虫歯よりも厄介な症状です。
見た目や色で気付きにくいですし、セラミックの場合はレントゲンを撮っても気付かないことが考えられます。
もちろん、セラミックは二次虫歯が発生しづらい素材ではありますが、基本的なセルフケアを怠ってはいけません。
また歯科クリニックで受けるプロフェッショナルケアも、セラミックや天然歯の状態を維持するには必要なことです。