ジルコニアセラミックは、数あるセラミック素材の一つです。
硬度の高さが最大の特徴であり、セラミックを長持ちさせたい方にはとても人気な素材です。
しかし、そんなジルコニアセラミックでも一切劣化しないわけではありません。
今回は、ジルコニアセラミックの劣化の原因を解説します。
ジルコニアセラミックが劣化する原因3選
圧倒的な硬さを誇るのがジルコニアセラミックですが、以下の原因によって劣化することがあります。
・物理的原因
・科学的原因
・衛生状態
各項目について詳しく説明します。
物理的原因
ジルコニアセラミックは硬い素材ですが、瞬間的な強い衝撃にはあまり強くありません。そのため硬いものを噛んだり、外からの強い衝撃が加わったりすると、割れたりヒビが入ったりすることがあります。
また歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ジルコニアセラミックに対して過度な力がかかり続けます。
これにより、ヒビ割れが見られるケースもあります。
さらに噛み合わせが不適切である場合も、特定の歯にばかり過剰な力が集中します。
このとき力がかかるのがジルコニアセラミックの歯だった場合、当然劣化のリスクは高まります。
科学的原因
ジルコニアセラミックが劣化する原因としては、科学的原因も挙げられます。
ジルコニアセラミックは、口内の水分や熱により、徐々に変質する水熱劣化という現象が起こります。
これにより、少しずつジルコニアセラミックの強度や耐性が低下し、劣化していくことが考えられます。
また歯の被せ物として使用する場合、ジルコニアセラミック本体ではなく、歯とジルコニアを固定する接着剤が劣化することがあります。
こちらは経年によって少しずつ確実に劣化するものであり、接着力が弱まるとジルコニアセラミックが外れる原因になります。
衛生状態
衛生状態の悪さも、ジルコニアセラミックが劣化する原因の一つとして挙げられます。
ジルコニアセラミックはセラミック素材であるため、変色はあまり見られませんが、それはあくまで毎日ブラッシングを徹底した場合です。
ブラッシングをおろそかにしていると、プラークが蓄積し、変色の原因になります。
またジルコニアセラミック自体の劣化ではありませんが、被せ物の下で虫歯が進行したり歯周病になったりすると、土台の歯が弱くなります。
こちらは、ジルコニアセラミックが外れたり、破損したりする原因になります。
製造・加工時に問題が発生していることも
ジルコニアセラミックは、当然患者さん一人ひとりに合うものを装着します。
そのため、基本的には装着した時点で適合の悪さを感じることはありません。
しかし、製造や加工時に問題が発生している場合、話は変わってきます。
例えば、ジルコニアセラミックの加工時には、目に見えないほどの微細な亀裂が入ることがあります。
こちらはマイクロクラックと呼ばれるもので、焼成中の破損を引き起こす原因になります。
また水分を含んだジルコニアセラミックを不適切に焼成すると、急激な水分蒸発によって亀裂が生じることもあります。
ちなみにセラミック治療の技術や実績に乏しい歯科クリニックでは、素材自体に問題がなかったとしても、装着がうまくいかないことがあります。
このようなミスは極めて稀ですが、歯科医師も人間であるため、必ずしもミスが起こらないとは限りません。
もちろん、このようなセラミックは噛み合わせの不良などが起こりやすく、劣化も早まりやすい傾向にあります。
ジルコニアセラミックの劣化対策
一切ジルコニアセラミックを劣化させないというのは難しいですが、劣化のスピードを弱めることは可能です。
まず、日常生活では硬い食べ物をなるべく避け、歯ぎしりや食いしばりへの対応も検討しましょう。
硬いものとしては、硬い煎餅や氷などを噛むことで、劣化や破損のリスクが高まります。
歯ぎしりや食いしばりがある方は、就寝時にナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着することで、ジルコニアセラミックへの負担を軽減できます。
またジルコニア自体は変色しにくいものの、周囲の歯や歯茎にプラークが付着すると、二次的な虫歯や歯周病のリスクが高まります。
そのため、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスも使用し、口内を清潔に保ちましょう。
さらに色の濃い飲食物を摂った後は、着色しないようすぐに口をゆすいだり、軽いブラッシングをしたりすることをおすすめします。
ちなみに、歯科クリニックで定期的にクリーニングやスケーリングを受けることでも、ジルコニアセラミックの劣化はある程度防ぐことが可能です。
まとめ
ジルコニアセラミックは硬度が高く、長い間その機能性や審美性を維持できる優秀な素材です。
しかし、患者さんの使い方によっては、明らかに平均よりも寿命が短くなってしまうことがあります。
こちらはすべてのセラミック素材に言えることであり、高品質の素材を装着したからといって、油断は禁物です。
またセラミックのメンテナンスをする際は、セルフケアだけで済まさず、しっかり歯科クリニックに足を運びましょう。