セラミックインレー(詰め物)は、他の素材と比較して審美性に優れています。
また精度の高い印象材を使用できるため、インレー自体の精度も良くなります。
しかし、場合によっては一度詰めたインレーが取れてしまうことがあります。
今回は、セラミックインレーが取れる主な原因について解説します。
セラミックインレーが取れる原因6選
精度の高いセラミックインレーでも、以下のようなケースでは使用中に取れてしまうことが考えられます。
・二次虫歯
・接着剤や素材の劣化
・歯ぎしりや食いしばり
・大きな衝撃
・噛み合わせの悪化
・形成の悪さ
各項目について詳しく説明します。
二次虫歯
セラミックインレーが取れる原因としてもっとも多いのは、二次虫歯です。
虫歯治療で虫歯の部分を削り、レジンでは修復できない場合、セラミックインレーやクラウンが必要になります。
またセラミックは、歯と補綴物の隙間が少ないですが、まったく隙間が開いていないというわけではありません。
そのため、虫歯菌が入り込んで内部で二次虫歯を引き起こすことがあります。
また二次虫歯になると、歯が溶けてセラミックインレーが合わなくなり、浮き上がってしまったり歯から取れたりしてしまいます。
接着剤や素材の劣化
セラミックインレーは歯科用の接着剤で接着・合着するものですが、施術から長い年月が経つと劣化し、外れやすくなります。
またセラミックインレーの素材そのものが劣化することにより、取れてしまうこともあります。
銀歯やレジンなどの比べると劣化は顕著ではありませんが、少しずつ咀嚼時などの負担に耐え切れなくなることは十分に考えられます。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりがある方も、セラミックインレーが取れる可能性が高いです。
こちらは天然歯にも同じことが言えますが、歯ぎしりや食いしばりが強く、大きな力がセラミックインレーにかかり続けると、ある日突然外れることがあります。
こういったケースでは、セラミックが割れたり欠けたりすることも多いです。
また歯ぎしりや食いしばりは、就寝中無意識に行っているケースが多いです。
そのため、自覚症状がない方は、歯ぎしりや食いしばりによってセラミックが取れたことになかなか気付けません。
大きな衝撃
大きな衝撃を外部から受けた場合も、セラミックインレーは外れる可能性が高くなります。
例えば、転倒や衝突などの強い衝撃を受けた場合です。
特に、前歯は転倒・衝突したときに外傷受けやすい部位です。
転倒時に顔面を打ち付けた場合や、スポーツ中の衝突で口内に強い力が加わった場合、その拍子に外れる可能性は十分に考えられます。
また衝撃によってセラミックが割れたり、天然歯ごと折れたりする可能性もあります。
噛み合わせの悪化
噛み合わせが悪い場合、セラミックインレーに過剰な力がかかって外れることがあります。
装着したときはバランス良く噛み合っていたとしても、年月が経つと天然歯は少しずつ擦り減ります。
具体的には、セラミックインレーと噛み合う天然歯が擦り減っていきます。
一方、セラミックはそれほど摩耗しないため、徐々にセラミックの部分が高くなって対向の歯に強く当たるようになります。
その結果噛み合わせが悪くなり、セラミックインレーが取れるリスクは高まります。
形成の悪さ
こちらは歯科医師の技術の問題になりますが、セラミック治療で歯を削る際の形成に問題があると、装着したインレーがすぐに取れてしまう可能性があります。
このような場合、そもそも歯を削る形に問題があるため、何度再装着を使用としてもそのたびに取れてしまうことが考えられます。
歯科クリニックの医師は、高い技術でセラミック治療を行うため、このようなケースは非常に稀です。
しかし歯科医師も人間であるため、必ずしも形成の不具合が起こらないとは言い切れません。
セラミックインレーが取れてしまった場合の対処法
セラミックインレーが取れてしまった場合は、割れてしまった時と同様に、自力で戻さないようにしましょう。
自力で戻しても、正しい向きで装着することは困難です。
またセラミックインレーが取れたときには、飲み込まないようすぐに口から出すことも大切です。
胃に入っていれば、後に便とともに排出されるため心配ありませんが、気管に入ると非常に危険です。
飲み込んだ後の違和感がなければ問題ないことが多いですが、むせるような感じが続くようであれば、気管に入っている可能性があります。
このようなケースは早急に対処する必要があるため、迷わず歯科クリニックに相談してください。
まとめ
セラミックインレーは、患者さんが気を付けていても取れてしまう可能性があります。
特に接着剤の劣化や噛み合わせの悪化などは、どうしても避けられない部分です。
またセラミックインレーが取れてしまったのであれば、焦らずにセラミックを保管し、なるべく早めに歯科クリニックを受診しましょう。
セラミックが破損しておらず、土台になっている歯の形にも問題がない場合は再装着することができます。